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人事評価制度と降格・降給

貢献度と賃金のギャップが生じている会社

  • 人事制度の中に降格や降給の制度を取り入れたいがどのようにすればいいかわからない。
  • 降格や降給は会社が一方的にできるものなのか?(対象者の同意がなくても実行できるのか)
  • 降格や降給を実施する場合の注意点は?
  • 人事制度の中に降格や降給を入れなければ降給することはできないのか?

自社の人事制度や賃金制度について、このようなお悩みはありませんか?

通常、賃金・給与は会社への貢献度によって、その貢献度が高まれば、比例して給与額も上がっていくようになっています。

悩ましいのは、中小企業では特にこの貢献度の図り方が曖昧なこともあり、いつの間にか貢献度と給与額にギャップを生じることにあります。

例えば、ギャップを生じるパターンとしては、次のような場合が考えられます。

  • 老舗の企業で、従来から勤続年数や年齢により給与が高る仕組みになっており、能力評価や人事評価を行って来なかった企業が、経営者の世代交代などで人事制度を導入した際、社歴の長い古参社員の給与が非常に高止まり状態になってしまっているケース。
  • いままでは経営者の好き嫌いと頭の中での感覚で昇給を決めてきており、上司に気に入られれば給与があがっていた。ところが、時代の変化に伴い、M&Aにより株主とともに経営者が交代した際、給与と職責、成果が結びつかない社員がでてしまっているケース。

日本の労使慣行では、給与、特に月給は一度上がったら「下がらない」という思想があります。

労働法の考えにも、労働条件を下げる場合には、原則として労働者の同意が必要とされており、給与を「下げる」ことにはかなり大きな制限がかかるというのが実態です。

そうはいっても、競争環境の厳しい今の時代、経営者としては、貢献度と給与額にギャップが生じている場合は、そのギャップを是正する対応を打ちたいと考えるのが自然です。

賃金が下がる降格・降給のパターン

ではここで、給与が下がるというケースを考えてみます。

一口に賃金が下がる降給といっても、様々なパターンがあります。

まずはそのパターンを分類してみると、以下のような分類となります。

 

  1. 懲戒処分により減給処分となるケース
  2. 懲戒処分として降格となりその結果、役職手当などの支給がなくなることで減給となるケース
  3. 人事制度上の評価により降格・降給となるケースにより減給となるケース
  4. 労使双方の合意に基づき、労働条件の変更により給与を変更させるケース
  5. 就業規則の変更により給与が下がるケース

 

上記のように様々なパターンがあります。

この5つの中で、1の減給処分のみ、一時的に給与が減額される措置となり、他のパターンでは原則一時的ではない恒久的な降給措置となります。

賃金が下がる仕組みは必要?

既に述べた通り、従来の年功序列型賃金を主流とした日本の会社ではあまり給与を下げる、という考え、思想で賃金制度が設計されていません。

一部例外的に、年齢給がある一定の年齢になると下がるといったことや、定年後の再雇用のタイミングで給与が下がるということはありますが、あくまで例外です。基本的には勤務年数が長くなれば、給与は上がり続けるというのが日本の会社での給与への考え方です。

本記事を読まれている方の会社でも、毎年給与がアップダウンする、というような企業はほとんどないでしょう。

降格や降給は基本的には行われず、能力がない人であっても、「現状維持」が多いでしょう。

しかし、高度経済成長期のような、商品やサービスを作れば売れるという時代ではありません。

勤続年数が長くなれば、会社業績への貢献度が比例して継続して高くなるかといえば、わからなくなってきています。

経営者としても、事業環境が変化した際に、会社への業績・貢献度と給与とのギャップを少しでも是正できる仕組みを整えることは意味があります。

降格・降給のある人事評価制度を導入したい

、前提条件として、今まで人事評価の結果で賃金を下げることがなかった会社や、新しく人事評価制度を導入する会社では、賃金が下がる可能性がある人事評価制度を導入する際に、就業規則の不利益変更の問題をクリアする必要があります。

これは、人事評価の結果として、賃金の減額が発生する可能性がある制度への変更を行う場合、人事評価の結果、労働者の不利益になる可能性があれば不利益変更に該当するものと判断されるためです。

ここで、就業規則の不利益変更を行う場合には、労働者からの同意または就業規則変更の合理性が必要となります。

同意が得られれば特に問題はありませんが、社員数の多い会社になると、一部の社員のみが反対するといった状況が発生し、社員全員から同意を得るのが難しくなることも生じます。

この場合は、賃金が下がる制度の導入であっても、その制度の内容が適切に「周知」され、「合理的なものである」場合は、社員との合意がなくとも行うことができるとされています。これが、同意に変わる就業規則変更の合理性となります。

この合理性の判断はグレーゾーンになるため、判断が難しい部分ではありますが、ポイントとしては、以下のような点で合理的な変更かどうかが判断されます。

1)労働者の受ける不利益の程度

2)労働条件の変更の必要性

3)変更後の就業規則の内容の相当性

4)労働組合等との交渉の状況

5)その他の就業規則の変更に係る事情

まとめると、あまり激しい下げ幅、要件にせず(不利益の程度を弱める)、社員にきちんと制度変更の趣旨や意味を説明したうえで制度を導入する、となります。

なお、降給とする場合の額やパーセントについては、もちろん小さければ小さいほど不利益の程度は小さく、その分合理性の根拠となりますが、何パーセントまでならいいという明確な基準はありません。

人事評価制度の降格・降給の判断ポイント

人事評価の結果として降格・降給をする場合、降格は社員の同意を得ることなく、会社の判断で行う行為になります。

このような降格を一方的に実施してよいか?という点については、認められる場合もあれば認められない場合もある。つまり、判断が分かれるグレーゾーンとなります。

ポイントとしては、上記の賃金減額の可能性がある制度を導入する際の要件がクリアできているとすれば、今度は、制度を運用するうえで「人事評価制度が公平かつ適切に運用されているか」が問われます。

これは例えば、以下のような場合に人事制度自体が公正性・客観性が乏しく、裁量権・人事権を濫用しているとして降格や降給が違法となる可能性があります。

人事評価の、評価基準が抽象的な定めとなっており、評価者の恣意的な運用が為される

〇人事評価の手続きが不明確、不透明で社員にオープンにされていない

〇評価基準がそもそもオープンにされていない

 

上記のようなリスクがあるため、会社としては、人事評価の評価基準や評価の手続きといった制度の内容を明確にし、社員にオープンにすることが重要となります。

最も大事なのは評価の納得性

さて、ここまで人事評価制度における降格・降給についてご説明しましたが、結局のところ、最も重要な点は評価結果に対する社員の納得感です。

上司からフィードバックされた評価結果に社員が納得していれば、その結果も受けいれることができます。

法的な基準があいまい、グレーゾーンであるからこそ、人事評価制度ではこの「納得感」が最も重要となります。

弊社のコンピテンシー型人事評価制度は、求める要件や求めるレベルを会社ごとにオリジナルに作成することができ、なおかつ評価基準を客観的に明確にすることができます。

社員の人事評価の納得感を高めたい!というご要望がある企業様のご相談をお待ちしております。

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