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このページでは、弊社が考える人事制度の全体像、枠組みについてご説明いたします。
人事制度と一言でいっても、いくつかの要素、制度が組み合わさり、全体を構成しています。
制度の柱になるのが2等級制度、3人事評価制度、4賃金制度の3つとなります。この柱を支える土台が1ビジョン・人事制度基本方針となります。
5目標管理制度、6面談の仕組みは会社ごとにオプションとしての位置付けと考えて頂ければ結構です。
この他にも要素はありますが、中小企業の人事制度ではこの6つの要素を整備していけば十分と考えます。
まず最初に人事制度全体の土台となる人材に対するビジョン、人事制度の基本方針があります。人事制度の基本方針は他の要素を検討するうえの基本的な考えとなり、制度設計をするうえでの進むべき道、方針となります。どちらかといえば、具体論というよりも抽象論となります。
等級制度とは、社内での社員の成長によるキャリアパスの段階を見える化したステップアップの階層となります。
等級制度では会社が社員に求める役割により、職層を区分し、同じ役割の中でも上位、中位、下位といったレベル差を設けることで細分化をしていきます。
等級制度によって等級を区分する過程で、役職も検討していくことになります。社内でのランク、上位下位を表す指標としては、一般的には等級制度における等級と役職があります。
この等級と役職の関係ですが、「等級」=「役職」というように、等級と役職を完全一致させる制度もあれば、同じ役職に複数の等級ランクを認める制度(等級≒役職)もあります。
どちらの制度にもメリット・デメリットがあります。
シンプルで管理しやすいのは「等級」=「役職」となる制度ですが、この制度は柔軟性に欠けるというデメリットがあります。一方、等級と役職が完全一致しない制度は柔軟で運用しやすいメリットがありますが、逆に制度・運用が複雑になりわかりにくいというデメリットが生じます。
等級の数を何区分にするのがいいかは、社員数にもより、社員数が多ければ階層は増える傾向にあり、社員数が少ない会社ではそこまで多くの階層を分ける必要性はありません。
目安としては、100名以下の企業で6等級程度、数百名規模の企業で7~9等級程度が標準的な等級数と言えます。
ここで重要なのは、等級の違いが説明できることです。等級を分けたとしても、その等級に差がないのであれば分ける意味がありません。自社にとって最適な等級制度を設計する必要があります。
人事評価制度は、コアになる要素であり重要な役割を持っています。
人事評価制度の評価要素を何にするかは会社ごとに決めることができますが、弊社が推奨するのはコンピテンシーと呼ばれる要素です。
コンピテンシーとは、組織内で高い成果を上げているハイパフォーマー(業績を上げている人やパフォーマンスが高い人など)の行動特性を言います。
当然、このコンピテンシーは組織(会社)によっても職種や階層によっても内容は変わります。
このコンピテンシーを職層ごとに明確にすることで、会社が求める人材の具体的な内容、どういう風に社員に成長して欲しいかが見えるようになります。
また、コンピテンシーごとに評価の基準書を作成することで、評価者ごとの評価のぶれが小さくなるというメリットが得られます。
なお、人事評価制度の目的は、評価結果(査定)によって賃金にも反映をするということもありますが、主たる目的は査定ではなく「人材育成」です。
社員が主体的に現状を把握し、目指すキャリアを実現するためにどんな能力を伸ばせばいいかを明確にすることで成長を促進することが人事評価制度の最も大きな目的になります。
人事評価制度は、コンピテンシーの要素を決めるだけでなく、社員への期待のレベルも明確にする必要があります。これは例えば、業界・規模・業種も異なるA社とB社では、同じ「営業力」、「ビジネスマナー」、「提案力」といったコンピテンシーの要素であったとしても、求めるレベルは会社ごとに異なるというものです。レベル差の高低に是非を考えるよりも、現状の社員の能力基準を踏まえ、会社がどのレベルを求めるかでレベル基準を定める必要があります。
社内のハイパフォーマンス人材が良い評価をとれないような無茶な評価基準書を作ってしまっては、社員のモチベーションが下がるだけです。
人事評価制度と賃金制度の連動の仕方は大きくわけて2通り考えられます。
1つは、賃金表(賃金テーブル)を作成してS評価をとったら****円昇給、A評価だったら****円昇給、というように明確にシステマチックに昇給額を決めるやり方です。
もう1つが、人事評価制度と賃金制度をある程度切り離し、昇格や昇給は業績を加味して別途検討し決定する、というやり方です。この方式は、S評価をとったとしても、業績が良い局面と業績が悪化している局面で昇給額が変わる、という結果になります。
事業環境が1年ごとに大きく変わる今の時代、社員の能力の伸び・人事評価の結果と
企業業績は必ずしも一致しません。
そういう意味ではこの評価制度と賃金制度のある程度の切り離しには賛否両論あるものの、一定の合理性もあります。
社員としては、賃金表が明確に定められていた方が昇給額が一目瞭然でわかりやすいというメリットもあります。どちらの方式も一長一短です。
会社の賃金制度は、本来は、「わが社は何に対して賃金を支払うのか」、「限りある人件費をどう配分するのか」について経営側・役員間ですり合わせをしその方針にそって決まるべきものですが、長年の積み重ねにより今までこうだったから、というあまり根拠もなく決まっていることも多いものです。
世間に合わせて諸手当を追加したり、過去業績が好調だった時に大きく昇給をし過ぎて古参社員の給与が高騰し、貢献度とのギャップを生じているような企業もたくさんあります。
人事評価制度の構築の過程では、この賃金制度についても、「何に対して賃金を支払うのか」についての議論からスタートし、経営者が考える「貢献度に応じて賃金を支払う」という理想の実現するためのサポートを致します。
目標管理制度は人事制度を構築するうえで必須ではありませんが、導入している企業が多いです。
目標管理制度とは英語では「Management By Objectives(MBO)」といわれ、著名なコンサルタントであるかの有名なドラッカーが自著の中で提唱した制度です。
「MBO評価」ともいい、社員一人ひとりの目標を、経営目標や部門目標と連動させることによって、会社全体の業績アップを目指すものです。
この目標管理制度ですが、実際には導入してはいるものの目標設定の内容や運用がうまくいかず、社員の成長や会社としての成果にうまく結びついていない、という会社も多いのが実態です。
うまくいかない理由としては、管理職・マネージャーの意識があります。
人事評価制度全般にも言えることですが、この目標管理制度は、部下の成長をサポートする管理者・マネージャーがいかに目標管理の必要性や考え方を十分に理解し、部下への指導力があるかによって、運用がうまくいくかが決まります。
目標管理制度は管理職・マネージャーのレベルが如実に表れる制度ですので、管理職に対する徹底した教育や意識づけが成功のカギを握ります。
目標管理制度をやったことがない管理職・マネージャーとしては、部下の目標設定・目標達成のサポートをしろと言われても、部下どころか、自分自身の目標設定がまずうまくできません。
目標とは、自分自身の願望がもとになるため、管理職自身が自分のキャリアビジョンについてしっかり考え、部下にアドバイスができるようになる必要もあります。
人事評価制度を初めて導入する会社では、まずは1~4までの要素を整備したうえで、時間をかけて後から目標管理制度を導入するようなステップバイステップで進める考えもあります。
人事評価の目的を、「社員の成長」とするなら、本人へのフィードバックは欠かせません。
現状を把握し、社員の理想や願望をヒアリングし、そのゴール(目標)へ向かうために適切な目標を設定します。
そして、その目標の達成について管理職はサポートを行い、期末に目標達成を踏まえた人事評価を実施します。
このことから、フィードバックがうまくできなければ、現状認識や改善点を理解させることも困難となり、適切な目標設定、意欲的なチャレンジ、納得のいく人事評価も実現することができません。
これらのフィードバックをうまく制度として、仕組みとして根付かせるための手法として弊社がお勧めするのが管理職・マネージャーと部下との1対1での面談である「1on1meeting」です。
この1on1meetingはあくまでも人事評価制度や目標管理制度をうまく活用するための運用の仕組みのため、導入が必須ではありません。おすすめのやり方の1つと考えて頂ければ結構です。
人事制度がうまくいかないパターンをご紹介いたします。
やはり、土台となる方針やビジョンが曖昧であると、うまくいきません。
土台をしっかり検討せずに、制度を設計しまえば、設計する個々の制度自体は間違っていなくても、会社に合わない制度を設計してしまうことになります。
また、その都度その都度、例えば賃金制度や諸手当などを検討し、導入したとしても、ある制度とある制度が、土台の方針と照らし合わせると整合性がとれないといったことが起きます。
人事制度や賃金制度、等級制度はあくまでも人事に関する方針、将来への会社のビジョンがあってこそです。
具体的な制度設計を検討する前に、まずは、基本方針やビジョンを考えることをお勧めします。
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