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このページでは、人事評価制度の基礎知識として、そもそも人事評価制度とは?という点についてご案内します。
会社にはじめて人事評価制度を導入することを検討している会社などはご参考下さい。
人事評価制度とは、従業員の業績や能力、行動を定量的・定性的に評価するための仕組みです。
この制度は、企業が従業員のパフォーマンス、能力、成果といったものを適切に評価し、その評価結果に基づいて昇給や昇進、教育研修の機会を提供するために設けられています。
従業員一人ひとりの貢献度を可視化することで、公平で透明性の高い評価を行い、モチベーションを向上させることが期待されます。
また、人事評価制度は、企業のビジョンや戦略を従業員に浸透させる役割も果たします。例えば、企業が求めるスキルや行動規範を評価基準に組み込むことで、従業員が自発的にそれらを意識し、業務に取り組むようになります。
このように、人事評価制度は企業の持続的な成長に不可欠な要素として、多くの企業で導入されています。
特に、企業規模が大きくなればなるほど、導入している企業も多いと言えます。
人事評価制度の起源は、産業革命期に遡ります。
この時期、労働力の管理が重要な課題となり、個々の労働者の能力や成果を評価する必要性が高まりました。
初期の人事評価制度は、主に生産性や勤務態度に焦点を当てたシンプルなものでしたが、20世紀に入り、組織の複雑化とともに評価基準も多様化していきました。
特に1960年代以降、MBO(目標管理)など、現代の評価制度の基礎となる手法が開発されました。
その中でも有名なものが、フレデリック・テイラーによって提唱された「科学的管理法」であり、この科学的管理法は産業革命期における労働生産性の向上に大きく貢献しました。
テイラーは、労働現場での作業方法を科学的に分析し、効率を最大化することが生産性向上の鍵であると主張しました。
テイラーのアプローチは、作業の標準化、時間と動作の研究、労働者の適正配置を行ったうえで、成果に応じた報酬を支払う制度を導入するなど、従来の管理手法を根本から変えるものでした。
テイラーは、作業工程を細分化し、最も効率的な方法を見つけ出すことで、労働者が最大限の生産性を発揮できると考えました。また、労働者が自発的に働く動機付けとして、インセンティブを設けることも重要視しました。
この考え方は、管理者と労働者の役割を明確に分け、管理者が計画と指導を行い、労働者がその指示に従って作業を行うという明確な分業体制を生み出しました。
科学的管理法は、当時の工業生産に革命的な影響を与え、労働生産性の大幅な向上を実現しましたが、一方で労働者の創造性や自主性を削ぐという批判も受けました。
それでもなお、現代の人事評価制度や組織管理の基盤を形成する理論として、その影響は現在も色濃く残っています。この科学的管理法の考え方を理解することは、現代の評価制度を設計・運用する上でも有益です。
科学的管理法を学ぶには書籍も発行されていますので、一度読んでみることをお勧めします。
人事評価制度の主な目的は、上記に記載の通り企業の目標達成に向けて、従業員のパフォーマンスを最適化することです。
これには、従業員のモチベーション向上、得られた成果や利益の適正な配分、従業員の将来のキャリア開発支援などが含まれます。
会社側としては、従業員に何を期待しているかを明確に明示することで、進むべき方向を作ります。従業員自身にとっても、会社が何を求めているかがわかれば、自身の役割をより効果的に果たすことができるようになり、結果として企業全体の生産性向上につながります。
また、人事評価制度によって公平かつ公正な評価を行うことで、従業員の組織へのエンゲージメントが高まり、離職率の低下にも寄与する効果が生まれます。
高いパフォーマンスを示した従業員に対しては、昇進/昇格や研修を通じて、さらなる成長機会が与えられることが一般的です。このように、企業の発展と従業員の成長を両立させるために、人事評価制度は欠かせないものとなっています。
人事評価制度には、様々な種類と基準があります。
代表的な人事評価制度としては、多様な種類が存在し、企業の目的や文化、業界によって適した制度が選ばれます。以下に、代表的な人事評価制度をいくつか紹介します。
1、MBO(目標管理)
MBO(Management by Objectives)は、一番有名な人事評価制度でしょう。従業員と上司が共同で目標を設定し、その目標達成度に基づいて評価を行う手法です。
この制度の特徴は、従業員が評価基準を事前に理解しているため、目標達成に向けて具体的な行動を取ることができる点にあります。
MBOは、個々の業績を明確に評価できるため、成果主義を重視する企業でよく採用されています。また、目標設定と評価を通じて、従業員の自己成長を促進する効果も期待されます。
2、360度評価
360度評価は、従業員のパフォーマンスを上司だけでなく、同僚や部下、さらには顧客など、複数の視点・評価者から評価を受ける手法です。
この制度の利点は、多角的な視点から評価を得られるため、より客観的な評価が可能になる点です。
従業員は、自己認識を深め、改善の余地を見つけやすくなります。一方で、評価者間での基準のばらつきが課題となることもあり、また、評価者が複数になることで制度が複雑化する傾向があります。
3、コンピテンシーベース評価
コンピテンシーベース評価は、業務遂行に必要なスキルや行動を基準に、従業員の能力を評価する手法です。例えば、リーダーシップ、問題解決能力、コミュニケーション能力などが評価対象となります。
この制度は、特定の役割に必要な能力を強化する目的があり、企業が求める人材像に近づけるための指針となります。また、従業員のキャリア開発にも貢献する評価方法です。
4、業績評価(KPIなどの数値評価)
業績評価は、従業員の業務成果を直接的に数値化して評価する方法で、売上や利益、コスト削減など、設定したKPIの数値をもとに具体的な数値目標の達成度や実績値を基に行われます。
結果重視の評価制度であり、特に営業職やプロジェクトマネジメント職など、成果が明確に測定できる職種で用いられることが多いです。
しかし、数値に偏りすぎると、短期的な成果を追求するあまり、長期的な視点が失われるリスクもあるため、バランスが重要です。
また、経理や人事といったバックオフィスの業務など数値化しにくい部門をどのように数値評価するか、といった課題もあります。
これらの人事評価制度は、単独で使用されることもあれば、複数を組み合わせて用いられることもあります。
人事評価制度は、企業の文化や業界、従業員の役割に応じて使い分けられますが、弊社はコンピテンシーベースの評価制度をお勧めしています。
なお、評価基準については、業績、行動、スキルなど、企業の目標に沿った多角的な視点で設計されるべきです。
適切な評価制度の選定と運用は、企業の成長と従業員のキャリア開発を促進する鍵となります。
人事評価制度を効果的に運用するためには、いくつかの重要なポイントがあります。
まず第一に、評価基準を明確化することがあります。従業員が評価される項目を理解しやすくすることで、業務への取り組み方が明確になります。この評価基準が曖昧になってしまうと、従業員の不満につながることになります。
二つ目に、コミュニケーションの徹底です。評価結果やプロセスについて透明性を持たせ、従業員にフィードバックを行うことで、彼らの成長をサポートします。
三つ目に、定期的な見直しです。人事評価制度は、企業の成長や市場の変化に合わせて柔軟に対応する必要があります。
どんな制度を導入したとしても、導入時の内容のまま、ずっと継続していくのは無理があります。
最後に、人事評価を行う評価者(主にマネージャー、管理職層)のトレーニングです。
評価者が適切な基準で公平に評価を行えるよう、研修やガイダンスを提供することが重要です。
これらのポイントを押さえることで、人事評価制度はより効果的に機能し、従業員のモチベーションと企業の業績向上に寄与します。
人事評価制度は、大企業で広く導入されているイメージが強いですが、社員数が数十人程度の中小企業にこそ、その導入が大きな効果を発揮します。
この記事では、最後に数十人規模の中小企業において人事評価制度が必要とされる理由を以下にご紹介いたします。
まず1つ目の理由としては、「経営資源の最適活用」があげられます。
中小企業では、大企業と比較して限られた人材や資源を最大限に活用することが経営の鍵となります。
人事評価制度を導入することで、各従業員の能力や貢献度を正確に把握し、適材適所に配置することが可能になります。特に、従業員一人ひとりが複数の役割を担うことが多い中小企業においては、個々のパフォーマンスを客観的に評価し、その強みを活かすことが、企業全体の効率向上につながります。
2つ目に、「従業員の不満の解消、モチベーション向上」があります。
大企業と比較し仕組みが整っていない中小企業では、従業員のエンゲージメントがより企業の成長に直結します。
人事評価制度を通じて、公正で透明性の高い評価を行うことで、従業員は自分の努力が正当に評価されていると感じ、評価結果に対する不満を解消することになり、結果として仕事に対するモチベーションが高まります。
また、評価結果に基づいて昇給や昇進が行われることで、従業員はさらなる成長意欲を持つことができます。これにより、離職率の低下や従業員の定着率向上にも寄与します。
3つ目に「経営ビジョンの共有」があります。
中小企業では、社員数が少ないこともあり、大企業と比較し経営者と従業員の距離が近いと言えます。そのため、経営者の考えるビジョンや方針を従業員全員に浸透させることが大企業と比べると比較的容易と言えます。(それでも難しいことには変わり有りませんが)
人事評価制度は、この経営者の考えるビジョンの共有にも活用することができ、企業の目標や戦略に沿った行動や成果を評価基準に組み込むことで、従業員がそのビジョンを理解し、共有することにも繋げることができます。これにより、企業全体が一丸となって共通の目標に向かって進むことができ、ビジョンの実現が加速します。
4つ目に、柔軟な評価と成長機会の提供できることがあります。
大企業と異なり、中小企業はその社員数から、大企業よりも柔軟に人事評価制度を設計・運用できるという利点があります。
社員数が少ない分、個々の従業員に対する評価がよりパーソナライズされ、細やかなフィードバックを行うことが可能です。
社員数が増えれば増えるほど、管理上、制度はどんどんシステマチックになり、イレギュラーな対応や個別対応はなくなっていきます。
また、社員数が少ないということは、制度の運用結果を見ながら、必要に応じて評価基準やプロセスを迅速に見直すことができるため、企業の成長段階や外部環境の変化に柔軟に対応できるというメリットにもなります。
以上のように、人事評価制度は中小企業にとって、限られた人材を最大限に活用し、組織全体のパフォーマンスを向上させるための重要なツールになります。
従業員のモチベーション向上や企業ビジョンの実現、公正な職場環境の構築に寄与することから、社員数50人程度の規模の企業にこそ、その導入が強く推奨されます。
人事評価制度を導入してみたい。
または、既に人事評価制度を導入しているが、いまいちうまく運用できていない、という企業のご担当者はぜひコントリビュート社会保険労務士法人へ一度ご相談下さい。
東京都千代田区のコントリビュート社会保険労務士法人のホームページにお越しいただき、ありがとうございます。当法人では中小企業の人事評価制度作成、改定、運用のサポートを実施しております。
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