相談事例:部署や職種ごとに評価基準は変えた方がいいでしょうか?

部署、職種による評価基準

相談者:会社経営者

弊社では、現在人事評価制度がなく、新規での導入を検討しています。そこで、導入するにあたり、評価基準を部署や職種ごとに、どこまで細かく設定した方がいいのか、わかりません。

部署、職種によってやっている仕事も全く異なりますが、この仕事の違いと評価基準の違いをどのように考えればいいでしょうか?

回答:社会保険労務士

部署や職種によって仕事が全くことなる場合に、全て同じ評価基準で運用することは無理があります。

どこまで部署ごとにするかはバランスと匙加減の部分となります。あまりに細かくわけ過ぎると、メンテナンスや管理に工数がかかることに繋がり、導入後に運用が難しくなります。

共通部分と部署ごとの評価基準をミックスさせるのが無難

人事評価制度の評価基準を設定する際、全社員に共通する部分と、部署ごとに特化した基準をミックスさせることが非常に有効です。

まず、共通部分として企業全体の価値観やビジョンに沿った評価項目を設定することで、全社員が一体感を持ち、企業目標に向かって一致団結することができます。

例えば、コミュニケーション能力やチームワーク、企業理念の理解度や実践などが共通部分の事例として挙げられます。

これらの素養、要素はどの部署にあっても、全社員にもっていて欲しい、大事にしてほしいとされる会社が大事にする企業文化に関わる部分とも言えます。

一方で、各部署の特性や業務内容に応じた評価基準を設定することも重要です。

営業部門では売上目標や顧客満足度、開発部門では技術力やプロジェクトの進捗状況、管理部門では人事、労務、経理といったそれぞれの分野の専門知識など、各部署の具体的な目標や業務内容に基づいた評価基準を設けることで、各社員の業務遂行能力や成果を適切に評価できます。

このように、共通部分と部署ごとの評価基準をミックスさせることで、評価の一貫性と公平性を保ちながら、各部署の独自性や専門性を反映した評価が可能となります。

さらに、全社員に共通する基準があることで、部署間の異動があった場合でも、社員は基本的な評価基準を理解しやすく、迅速に新しい役割に適応できるでしょう。

共通部分と部署ごとの評価基準をバランス良く取り入れることを、おすすめします。

部署ごとの評価基準、評価項目を作成する際の注意点

各部署ごとの評価基準や評価項目を設定する際は、部署ごとの業務内容や目標が異なることを考慮する必要があります。

各部署の特性に合わせた評価項目を設定することになりますが、部署間での評価基準の甘辛、レベル感をある程度合わせる必要がでてきます。

例えば、営業部門では売上目標の達成度、顧客満足度などが重要ですが、開発部門では技術力の向上やプロジェクトの進行状況が重視されるという結論がでたとします。

この場合に、営業部門と開発部門での評価基準のレベルを客観的にみて、妥当と考えられる妥当性と公平性のバランスをとる必要があります。

営業部門の評価基準が厳しすぎるのに、開発部門の評価基準はややぬるい。異なる評価基準になるため、単純比較はできませんがある程度のすり合わせは必要です。

また、評価基準を設定する際には、評価者による解釈の違いを避けるために、具体的で測定可能な項目を作成することが望ましいと言えます。

透明性を高めるために、評価基準や評価方法を全社員に明示し、納得感を持たせることも大切です。

評価項目の適正な個数について

評価項目の数は、過剰になりすぎないように注意が必要です。一般的には5項目程度、多くても7項目程度をお勧めしています。

あれもいれたい、この項目もいれない、となる気持ちもわかりますが、どうしても項目が多すぎると評価が複雑化し、評価者の負担が増すだけでなく、被評価者にとっても焦点がぼやけてしまいます。

これだけは絶対に譲れない!この評価項目があれば良いパフォーマンスをだせる土台になる、という重要な項目に絞り、各項目の評価が詳細に行えるようにすることが重要です。

評価項目を選定する際には、業務の重要な要素や成果に直結するポイントに重点を置きます。

なお、評価項目の選定と見直しは、継続的なプロセスと捉え、柔軟に対応することも求められます。

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